日本の知恵が守れない

先日世界最大規模の8K液晶の製造会社を訪ねた。広大な敷地に大工場を作り安い賃金の労働者、技術者を使って大量に安い価格の製品を売り出し、急速に発展した会社である。

社長さんの案内で工場の一部も見学させていただい時、驚いたことがある。

防塵処置が施された大きな体育館のような内部に、整然と液晶を作成する機械が並んでいた。それらの機械はすべて日本製であり、ところどころに貼ってあるスイッチのような部位のラベルも日本語で書かれていた。また従業員の中に日本の企業で働いていた技術者も何人か居られるような話であった。

さらに驚いたことに幹部の方の話では、この会社の新規開発のための研究費はごく少ないとのことである。

結局、日本で完成した技術を用い、日本の企業で働いていた技術者を集め、日本製の機械を使い、大工場を作り、安い労働力で製品を大量に作り上げているのがこの会社のやり方なのである。そして世界に向けて安い価格で製品を販売して収益を上げ急成長したのだそうだ。ここまでならまあ商売上手ということである。しかしこの安い商品を日本にも売り込み結果として、大きな資金と時間をかけて技術を作り上げてきた日本の企業を倒産に追い込んでいるとなると、よく考え直さなくてはならないだろう。

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