じり貧にならないように

日本のコロナ対策が後手に回っていることは皆さんが感じている事だろう。

このような事態は初めてであるので対応の判断ができないとか、対策に関して理論的根拠がないなどとの意見があることも対応の遅れの原因だろう。実はこのような事態は社会の中では色々な場面でしばしば起こっているのです。医療の現場では重症患者さんの診療過程で「じり貧」という言葉が使われることがある。これは重症患者さんの診療において、医師はいろいろと考え、ご家族と相談したりしながら次々と手を打って行くのだが、日に日に状態が悪化してしまう時に使われているのです。私は「じり貧は医者の敗北」と言っています。

じり貧状態から脱出するにはどのようにしたら良いかを見極めることが医師としての能力が試されるところなのでしょう。一つ一つ徐々に厳しい治療手段が選択されて行くのが常道であり、これを家族の方も希望されることが多いのでしょう。そして結果として対処が後手後手になった状態が「じり貧」なのです。本当に快方に向かわせるためには一歩ではなく二歩先の思い切った処置が選択されなければならないことがあるのです。

今回のコロナ感染の発症元は武漢であり初期対策の遅れが指摘されたが、その時思い切って先手に回るために武漢の街の完全封鎖と全国的な行動制限を徹底して行い、現在はほとんど沈静化状態になっている。中国が社会主義国家だからだという人も居られるでしょう。しかし多くの国民が犠牲になる危険性が高い時に、国民のために国民が作った法律が障碍となってしまうとは全く本末転倒であることがわかる政治家がいないのだろうか。 遅れてはいるが、なんとか先手に回るような思い切った対策を打たなければ日本がじり貧国家になってしまう。