大谷選手の筋トレが心配 

最近の大谷選手の姿を大リーグのオープン戦のテレビで様子を見たが、上半身の筋肉の大きさにびっくりした。オフに筋肉トレーニングをやっていたとのことである。

プロスポーツ選手の筋トレは専門のトレーナーが十分に考えたメニューで行われているのではあるのだろうが合理性があるのか私は疑問を持っている。

野球のバッターについて考えて見る。直径7cmの球が、急速140kmのスピードでピッチャーの手から離れキャッチャーに届くまで、わずかに0.5秒弱である。このわずかな時間の中で長さが80cm前後のバットの先端近くで、太さが6cm程度の中心近くに球を当てなければならない。至難の技ではないことはわかる。イチロー選手でも芯に当たるのは10回振って3回くらいであり4回以上当てる選手(1シーズンの打率が4割を超える4割バッター)は日本では過去にも存在していないことからも分かる。

このような人間業とは思えないことができる条件としては

  1. 目で見た情報を受けた脳からの指令を直ちに筋肉に伝える反射神経が優れていること。
  2. 指令を受けた筋肉にはすぐに反応するスピードが求められる。
  3. 目的の位置に正しくバットを振り出すための多くの筋肉の協調運動。

などがバランスよく鍛えられていなければならない。筋力は勿論必要ではあるがすばやく動かせるしなやかさの方が大切である。

結論としてはどのようなスポーツのトレーニングであってもその競技に最も必要となる筋肉を中心に多くの筋肉が協調して素早く働くように柔らかな筋肉に育てなくてはならないのだと思う。筋力を増すためのウェイトトレーニングに偏るべきではない。バッターはフリーバッティングが一番のトレーニングであると思う。スピードを重視した比較的負荷の小さな繰り返し運動こそがスポーツマンには必要だと思っている。この観点から考えると大谷選手はホームランバッターに必要な筋力強化を狙っているのかもしれないがスピードが落ちてバットにボールが当たらなくなっては元も子もない。