コロナ感染拡大予防のため入国規制が行われていたが、そのような事態の中でもアジア諸国からの技能実習生については入国を認めていた。こんな中、昨日東南アジアから介護士研修生が入国したと言うニュースと関係者へのインタビューの様子がテレビに流れた。迎えた日本側担当者の話は「日本で十分な研修を受けて行って欲しい」と技能訓練のための来日であるという内容であったのに対し、来日したグループの女性の話では「少しでも日本の方々のお役に立てるように頑張ります」という内容で介護士としての仕事をするために来たという内容であり、両者の間で来日の目的が大きく異なっていた。そこには日本政府の苦しい事情があるからであろうと思われる。日本の高齢者などの介護士不足をアジアからの若者に期待している日本政府の苦しい事情があるからであろうとは思う。
しかしこのような対策も本質的な問題解決にはならない。アジア諸国でも日本と同様に高齢者問題が目前に迫っており、自国の高齢者の介護に当らなくてはならないので何時迄も日本の高齢者の面倒を見ることはできなくなることは明白である。然るに高い労働賃金で若者を日本に留めて置くことが許されるのか考えてしまう。
基本的には各国とも自国の高齢者の介護は当然自国の人間が担うべきであると思う。では誰が行うかとなると具体的措置が浮かばず、日本政府は若者が担うべきであるという方向で若者を介護士として増やせる制度作りなどが行われているようである。しかし若者は自国の産業を支える生産人員として働かねば国が成り立たない。
では誰が高齢者の面倒を見るべきか当たり前に考えてみれば、家族あるいは地域の人達がお互いに助け合って行って行くことが良いのは自明の理である。このためにはこの先10年―20年を見据えて家族のあり方、地域のあり方、社会の構造までも変えてゆくことを今すぐにでも計画して行かねばならない。現在の街は企業活動がしやすい様に作られているが、本来は人が住みやすい人中心に作られるべきであり、街の中で3世代、4世代が共にくらし、街の周囲を企業が囲んでいるという現在とは逆の形態に変えて行かなければならない。この様な発想の転換が必要とされる計画を持たないと何ら問題解決にはならないのだ。
その様な考えを持っている政治家がいるだろうか。