遅きに失した新型コロナ対応法改正 

以前から書いて来ているが、感染症の蔓延予防対策の基本は、感染者の同定と隔離である。コロナウイルスを増やし、拡散させているのは人間だからである。しかし厚労省はPCR検査は行わず、感染者の隔離もいい加減にして来た。その失敗の結果が現在の状態だ。

クルーズ船の乗員、また武漢の日本人を日本に連れ戻したのは良いが、感染者が含まれている可能性が高いこれらの人達を強制的には隔離せず、協力を願うといった程度の隔離処置であった。その後もこの不完全な隔離の抜け穴を通り抜け海外からコロナウイルスを運んできた人が多く居られ、結果として全国的な蔓延を招いたことは明白である。

この2月3日にようやく新型コロナに対応する改正特別措置法、改正感染症法、改正検疫法が成立した。これにより感染者をある程度強制的に隔離する事が可能となるだろう。遅すぎと言わざるを得ない、1年前に通過していなければならなかったのだ。なぜ感染者を確実に隔離するための施策が行えなかったのか。政治家が職業である与野党議員は国民に対して厳しいことを要求する事ができないからである。本当に国民の命を守る気があれば国民のご機嫌とりばかりを考えていてはならないのだが。強制的な隔離を行って欲しいと願っている国民は多かったと思う。コロナ対応の成功国とされる台湾では以前のSARSの対応を想定し、このような事態に対する法整備、その他対応手順が作られており、今回直ちに作動したのだ。その当時日本でも台湾と同様に各方面でSARS、鳥インフルエンザ感染が検討されていたが、何ら実施可能な対策案は残されていなかったのだ。

今回曲がりなりにも法律が成立したが、その内容を見ると、時短営業の拒否に対する罰則とか、必要ではあるが感染者の隔離とは意味合いが異なり意見が分かれることは当然考えられるのだ。単純に感染拡散予防対策として強制隔離を可能にする法律とは別にして審議すべき問題である。代議士の頭が整理されておらず、単に与野党の間での取引の茶番劇の結果であることは残念である。またどさくさ紛れに他で必要となりそうな法律までも通してしまおうとしているのではないかと勘ぐってしまう人は多いだろう。政府に対する不信感が染みついてしまっているからだ。