1990年12月6日当時のソヴィエト連邦が打ち上げたソユーズTM-11に日本人として最初の宇宙飛行士として秋山豊寛氏が搭乗しました。報道機関の解説図では周回軌道は地球から離れたところを飛んでいるように示されていましたので、人工衛星は無限の宇宙空間を飛んでいるようなイメージでありました。
地球とソユーズとの交信が放送されましたがその中で放送局の立花隆氏が人工衛星の秋山氏に問い掛けました。
「窓から見ると地球は鞠のように見えるのですか?」という質問であった。
全く想像が付かないことであるので返答を待ちました。
現在の知識で考えれば人工衛星の周回軌道は高度400km前後であり、これは東京と大阪の距離であるので地球規模で考えると地表スレスレの高さを飛んでいるのです。窓から見れば飛行機よりは広い範囲が見えたのでしょうが地球表面のごく一部が見えていたに過ぎなかったのです。
約1時間半で地球を一周し、沖縄上空から北海道を数分で縦断して飛んでいたのです。立花氏でも無限の宇宙を飛ぶ人工衛星からの景色を感覚的に想像することは難しかったのでしょう。
さらに人が生存できるのは気温が、マイナス50度が限界であるそうで、これは高度10Kmまでの空間なのです。
これは対流圏とされる空間とほぼ等しいのですが、その中で空気が動き、風が起き、雨が造られ、台風や様々な気象現象が起こっているのです。丸い地球の絵で描けばこの空間は地球の輪郭の線にもならない極々狭い空間なのです。無限の空ではなく地球固有の有限の空間なのであると認識を変えなくてはならないでしょう。
福島原発事故で空中に飛散した放射性物質や中国の工場排煙の微小粒子状物質(PM2.5)そして化石燃料焼却での二酸化炭素などはこの対流圏内の空に放散されているのですが、そこは無限の空間ではないのです。